2005年08月31日 13:06
【ワシントン和田浩明】米南部ルイジアナ、ミシシッピ州などを直撃した大型ハリケーン「カトリーナ」による被害は30日さらに拡大し、AP通信は、同日夕(日本時間31日朝)の時点で死者が少なくとも100人を超えたと報道。各地に取り残された住民も多く、死者数はさらに増える見込み。マクレラン大統領報道官は「米史上最悪規模の被害」と述べ、ブッシュ大統領が夏休みを中断して31日にワシントンに戻り、避難・救援活動を指揮すると発表した。
カトリーナの被害はメキシコ湾岸地域に集中。ミシシッピ州ビロクシ付近では、海岸沿いの住居多数が流されるなど壊滅的な打撃を受け、周辺だけで少なくとも100人が死亡したと、地元当局者が同通信に語った。
運河の堤防が決壊し市域の大部分が浸水したルイジアナ州ニューオーリンズ(人口48万人)では、30日も一部で水位が上昇。商店の略奪や発砲事件などが発生し治安が悪化。CNNテレビによると同州当局は、州内一部地域に戒厳令を発令、避難民支援で展開中の州兵が警戒を始めた。市内の避難所から住民らをさらに安全な場所に退避させる。また、日本総領事館の職員も30日までに避難。同市では400人前後の在留邦人が登録されているが、死傷や行方不明の情報は同日夕の段階で入っていないという。
◇ニューオリンズは壊滅状態!
【ワシントン和田浩明】「ニューオリンズは壊滅状態だ」--。大型ハリケーン「カトリーナ」に直撃された米南部ルイジアナ州の「ジャズの都」の当局者は30日、被害状況をそう表現した。運河の決壊で市域の約8割が水没。電気やガス、通信網や主要道路も寸断された。逃げ遅れた住民約3万人が避難するフットボール場にも洪水が迫り、市内各所で略奪も発生している。上空から周辺を視察した地元上院議員は「インド洋大津波の被害と同じ光景だ」と語った。
カトリーナは去ったが、決壊した運河の修復は進まず、市内の一部では30日も水位が上昇。各所で屋根の上などに取り残された住民を、沿岸警備隊などのヘリコプターが救助にあたった。だが、救助隊が到達できない地域もあり「死傷者が何人なのか、まだ分からない」(ブランコ同州知事)状況。同知事は会見で「生存者の救出が最優先」だと語った。
脱出しようとしたが、交通渋滞のため自宅に戻ったという男性住民は、米CNNテレビに電話で「ゴーストタウンになってしまった」と語った。市中心部のコンビニエンスストアなどでは、相次いで略奪が発生。窓ガラスが割られ、食料や衣料などが盗み出された。避難してきた地元テレビ局の記者は「生き延びることで精一杯の状態になってしまったようだ」と証言した。
市中心部にある屋根付きフットボール場「スーパードーム」には、続々と避難民が集まり、同日夕までに3万人前後に達した。水や食料が不足しており、「非常に困難な状態」(同知事)が続いている。
同市の日本総領事館の職員らも、30日までにテキサス州ヒューストンの総領事館に避難。対策本部を設置し、邦人情報の収集にあたった。
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毎日新聞 2005年8月31日 11時16分 (最終更新時間 8月31日 12時40分)